ネコスキーの日記

お題募集による掌編小説 Part7「片思い」「男」「BL・・・」

第七回は、セインさんから頂いたお題、

テーマ「片思い」 主役「男」  内容「BL・・・」

です








タイトル:世にも奇妙な愛の形


 智也と信一は中学校からの親友同士。
 少なくとも、智也はそう思っていた。
 高校からの帰り、いつものように二人が智也の部屋で漫画を読んでいた時、信一が思いもよらないことを口にした。
「実は俺、好きな奴がいるんだよ」
 信一は長身で、目鼻顔立ちも整っていて、スポーツ万能、成績優秀といった完璧超人で、正直女子からの人気も高い。
 だが彼は今日まで硬派で通っていて、浮いた噂は一つもなかった。
 そんな信一に、ついに好きな人が出来たという。
「マジでか。で、相手は誰なんだよ」
「いや、それは……」
 智也がそう聞くと、信一はなぜか恥ずかしそうにして答えようとはしない。
「なんだよ、照れるなって。じゃあ、どんな子? カワイイ系?」
「え? あぁ……どっちかっていうと、カワイイ系かな」
 そう言った信一は、なぜか頬を赤らめて智也から視線を背ける。
 その様子を訝しく思いながらも、智也は質問を続けた。
「で、やっぱ告白するんだろ?」
「いや、でも、相手が俺のこと、どう思ってるかわからないし」
「話したこともないのか?」
「いや、よく話してる」
 信一が女子と話しているところを、智也は数えるほどしか見たことはなかった。
 では、その中の誰かだろうか。しかし、その数えるほどの女子と話しているときの信一は、煩わしそうな雰囲気で、楽しそうにしている様子はなかった。
 信一は案外恥ずかしがりなところがあるからなぁ、と智也は自己解決することにした。
「だったら、思い切って言ってみろよ」
「でもビックリすると思うしさ……多分、片思いだと思うし」
 いつもなら物怖じせずはっきりと物を言う信一が、これほど後ろ向きな姿勢を見せるのは珍しかった。
 そんな信一の背中を、智也は後押ししたくなった。それは友情からくる素直な善意だった。
「その子に直接聞いたわけじゃないんだろ? 片思いかどうかなんて、わからないじゃん」
「……それは、まぁ……」
「その子のこと、本気で好きなんだろ」
「あ、ああ」
「だったら、当たって砕けろって言うだろ。意外と相手も、お前のこと好きだったりするかもしれないし」
「……そ、そうかな」
 信一は頬を掻いて、照れくさそうにしている。
「……よしっ! 決めた、俺、告白するよ!」
 決心を固めた信一を、智也は素直に激励した。
「おう! 頑張れ!」
「ああ、それじゃ……好きなんだ!」
「ははは、俺に言ってどうすんだよ。相手に言えよ」
「だから……好きなんだ!」
「……え?」
 智也の表情が強張る。
 しかしすぐに思い直して、智也は笑いながら口を開いた。
「なんだよ、好きって俺の姉ちゃんのことだったのか。確かに、姉ちゃんとならよく喋ってるもんな。わかった。じゃあ、それとなく俺が、姉ちゃんにお前のことどう思ってるか聞いてやるよ。姉ちゃんなら他人じゃないから、それくらい手伝えるし……」
「いや、そうじゃなくて」
「…………」
 智也が改めて考え込む。そして示しだされた答えは……
「……まさか、母さん?」
「……いや、違う」
「だよな……親友が間に入って一家離散なんて、悪い冗談だしな……」
 誤魔化すように笑う智也の背筋に、冷たい汗が流れた。
「……親父」
「違う」
 血の気が引いていくのを感じながら、智也は信一から視線を逸らした。
 しばし続いた沈黙を先に破ったのは、信一だった。
「初めて会った頃から……ずっと見てたんだ。俺が好きなのは……智也!」
「のおばあちゃんとか?」
「お前なんだ!」
 その言葉を、智也は予測していた。
 しかし、信じたくなかったのだ。
 というか、今でも信じられないのだ。
「……なぁ、信一、冗談だろ? ……冗談って、言ってくれよ……」
 しかし、信一は真剣な面持ちで首を横に振った。
「なぁ、智也……愛って、なんなんだろうな」
「何言い出してんだお前は」
「俺、ようやく気づいたような気がするよ……愛には歳の差も関係なければ、性別も関係ないってことにさ……」
「俺にとっては性別重要なんだけど」
「智也!」
 智也の言葉など聞こえないかのように、信一が智也に詰め寄る。
 身の危険を感じた智也が、必死で説得を試みた。
「なぁ、信一……俺は男なんだ。で、お前も男じゃないか。そこに恋愛感情が湧くのって、やっぱおかしいと思うんだ、少なくとも俺は」
「智也……そんなことないのさ。好きって気持ちに、おかしいとかおかしくないとか、そんなのないんだよ」
「いやでも……ごめんちょっと、とりあえず手握るのやめてくれる? あのな、今日まで生物が種を存続できたのだって、男と女で頑張ってきたおかげだと思うんだよ。俺はそんな先人達の努力を無駄にしたくないっつーか、ぶっちゃけ男同士はイヤっつーか」
 そんな智也の言葉に、信一はなぜか悟ったような顔をしながら微笑んだ。
「いいじゃないか……俺達は今を生きてるんだ。正直皆、俺みたいになればいいと思う。俺、この愛の形を全世界に広めたいとすら思ってる」
「最終的に人類滅亡するじゃねーか! イカン、イカンよマジデ。考え直そうよホント」
 必死に説得するものの、にじり寄る信一の威圧感に押されて、智也は思わず後ずさりしてしまう。
 そしてついに智也は、壁際まで追い詰められてしまった。
「智也……」
「ちょっ、おま……待て、マジで、助け……誰か、ダレカー!」
「いいじゃないかいいじゃないかいいじゃないか」


 その後、智也と信一がどうなったのかは、誰にもわからない。
 しかしたとえ片思いだったとはいえ、信一の中に確かな愛の形があったのは確かだろう。
 それを智也が受け入れたのか、それとも全力で逃げ出したのかは……神のみぞ知る。
 男と男の愛は……儚くも美しき花のように咲いていた。
 個人的にはさっさと散って欲しい。

―完―


 第七回は……コレナニ?

 なんというか、最後の最後で本音がポロッと出ちゃいました。

 書いていて七回くらい鬱になりそうになりました。孟獲の精神力の強さは異常(?)

 「ウホッ…!」の人とかってスゴイネ……これは……無理だ……。

 お題くださったセインさんに感謝しつつ、第七回はこれにて終了!
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by necosuky | 2007-09-14 19:25 | 掌編小説
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