ネコスキーの日記

お題募集による掌編小説 Part9「種」「タイムカプセル」「夢」

第九回は、オルトさんから頂いたお題、

「種」 「タイムカプセル」 「夢」

です。








タイトル:タイムカプセル掘り出して


 深夜の公園。
昭夫はふと、昔ここの木の下に埋めたタイムカプセルの存在を思い出して、それを掘り起こすためにやってきた。
「おー、ここやな……でもまぁ、随分昔のことやし、無くなっとるかもしれんなぁ……」
 あまり期待せずにスコップを木の根元に差し込む。
 がつり、と金属がぶつかる音がした。
「浅っ!? 一突きで当たったやん! 子供の俺、埋める時もうちょい頑張れや! そんで、よーこれ残ってたなタイムカプセル。こんなん絶対誰かに見つかるやろ」
 一人で呟きながら、昭夫がタイムカプセルを掘り起こした。
「結構デカいなー。こんなん埋めとったんか……」
 四角い箱を地面に置いて、昔のことを思い出す。
「いやー……思い出すゆうても十年くらい前のことやからなー。小学生やったし、今の今まで忘れてたくらいやしな、思い出せるわけないなー。まぁ、中身見ていったらちょいちょい思い出して行くやろ」
 大雑把なことを呟きながら、昭夫がタイムカプセルの蓋を開ける。
「お、なんか手紙入ってるやん。どれどれ……」
『埋め直しときました』
「やっぱ見つかってるやないか! あーまぁ、埋め直してくれた人に感謝せなあかんな。あ、もう一枚手紙入ってるやん。これはさすがに昔の俺やろ」
『埋め直しときました 昭夫より』
「俺やないか! いや、俺でええねんけど。アカン、いつ掘ったんやろ……全然覚えとらんわ。結構覚えてそうなもんやのにな……まぁええわ、中見て行こか」
 おもむろに箱の中に突っ込んだ昭夫の手が、丸いものを掴んだ。
「あ、これ野球ボールやん。懐かしいなぁ。そういえば、昔野球好きやったからなぁ。他に何入ってるかな」
 おもむろに箱の中に突っ込んだ昭夫の手が、四角いものを掴んだ。
「なんでホームベース入ってんねん! アカンやろ持ってきたら! 野球部の子らとかめっちゃ困ったやろ! アホやなー! 子供の俺ホンマアホやなー!」
 そう言いながら、更に昭夫が箱の中に手を突っ込む。
 小さなビニール袋を手に取って、その中を覗いてみる。
「……? なんでお菓子の柿の種が入ってんねやろ。ん? 手紙添えられてるやん」
『よかったら食べてください』
「食えるか! いややわこんな何年も経ってる柿の種!」
『もしかしたら、何年も経ってるから柿になってるかもしれませんね(笑)』
「なるか! 名前は柿の種やけど柿ではないねん! かっこ笑いちゃうわ! あーホンマアホやなー! 子供の俺!」
 続けて箱の中に手を突っ込むと、さらに手紙を見つけた。
『これでお題の「種」消化したことになりますよね』
「何のことやねん! やめてんか、わけわからんこと書くの。ホンマ危ないわ。なんかよーわからんけど、なんか危ないわホンマ」
 何かよくわからないことを呟きながら、昭夫がなおも箱の中に手を突っ込む。
「あ、また手紙や。なんや、ご丁寧に封筒にまで入れてるやん。どれどれ」
 封筒から便箋を取り出し、内容を読み上げる。
『未来のぼくへ』
「あ、今の俺にあてた手紙やん。あぁ、そーやなー、そういえばこんなん書いてたわ。やっとちょっとずつ思い出してきたわ」
『夢だったサッカーせんしゅにはなれていますか?』
「なんでお前野球ボールとホームベース入れたねん! やっぱわからんわー。やっぱアホなんやなー昔の俺」
『でも、あなたにそんなことをキタイするのはコクというものかもしれませんね……』
「お前が言うあなたは未来のお前や! 腹立つわーこいつホンマ腹立つわー」
『きっと大人になったぼくは、色んなことで苦労していると思います』
「……まぁなぁ、色んなこと苦労してるで」
『なんていうか、人生をフルコースで深く味わうためのいくつものスパイスがだれもに用意されていて』
「なんでお前その曲知ってんねん! まだ出してなかったやろミスチル!」
『時には苦かったりしぶく思うこともあるだろうと思います』
「この時の俺に何があったんや!?」
『そして最後のデザートを笑って食べるキミのそばに、ぼくはいたーい!』
「お前が言うキミは未来のお前やー! 何回同じツッコミさすねん!」
『ところで、未来のぼくには、彼女はいるんですか?』
「え? お、お前何聞いてんねん」
『ええやん、恥ずかしがらんで教えてや。おるん? それともおらんの?』
「いや、何やねんお前そら……おるで?」
『ホンマ? 何系、何系? カワイイ系? 美人系』
「ん~……まぁ、どっちかっていうと、カワイイ系やな」
『ええなぁ~、めっちゃ楽しみやなぁ~』
「ま、まぁな……ってなんでお前手紙で俺と喋ってんねん!? すごいな昔の俺何考えてんねやろホンマ。逆に怖いわ……あ、手紙終わったな……なんやったんやろこれ。ん? まだなんか手紙入ってるな。ていうか手紙入れすぎやろ」
『なんやかんや色々書きましたが、これで最後にしたいと思います。未来のぼくへ、これからも、がんばってください。  新堂剛より』
「……ん?」
 最後に記されていた名前を見て、昭夫は首を捻る。
「……ん? あれ? ……あ、そういえば……」
 よくよく思い出してみると、昭夫は自分のタイムカプセルを埋めたことはなかった。
 クラスメイトがタイムカプセルを埋める、という話を盗み聞きして、興味本位でそれを掘り起こしたのだった。
 その時に、「埋め直しときました 昭夫」という手紙を残したことも、完全に思い出していた。
「…………」
 昭夫がポケットからメモ帳を取り出して1ページ切り取り、手紙としてタイムカプセルの中にいれ、木の下へ元通りに埋め直した。
 手紙に記したメッセージは、
『埋め直しときました 昭夫』
「ホンマにスイマセンでしたー!」

―完―


 第九回は……これもなんていうんでしょう。コント小説?

 実はこれ以外にも完全シリアスなのを思いついてはいたんですが、気力が足りなかったのでやめておきました(ぇー

 関西弁ってこれであってるのか、などなど、色々と不安の残る小説……。

 お題くださったオルトさんに感謝しつつ、第九回はこれにて終了!
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by necosuky | 2007-09-18 19:41 | 掌編小説
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