ネコスキーの日記

お題募集による掌編小説 LastPart「全てのお題混同」

最終回は、皆様から頂いたお題、

【看板娘】【男の友情】【VIPPER】【悲しみ】【現在】【正直になれない自分】【心残り】【明日】【ネコさんのお気に入りの場所】【出会いと別れ】【未来・過去】【時代移動モノ?!】【片思い】【男】【BL・・・】【バイト】【メガネ】【花】【種】【タイムカプセル】【夢】【過去の過ち】【現在そして未来】【RO】

……です。








タイトル:なにもかも なにもかも


 VIPに書き込もうとする男が一人、パソコンの前に座っていた。
 しかし彼は、自分にとって必要不可欠なものを見失っていた。
「メガネメガネ……」
 メガネがなければ画面は見えない。しかしメガネはどこにも見当たらない。
 こんなことになるなら、もっとメガネを大切にしてやればよかった。
 共に泣き濡れた夜もあった。
 メガネに見守られながら、片思いの女性に告白したこともあった。
 いつの間にかメガネが、布団の中に潜りこんでいた時もあった。
 イラついて、思わずメガネを叩きつけてしまったこともあった。
 それでもメガネが怪我をした時は、急いでメガネ屋へと駆け込んだ。
 過去の過ちに涙を流しながら、悲しみに俯いた男の頭の上で、メガネがキラリと輝いていた……。


 一方その頃、秋葉原の裏道では。
「……こ、これは……」
 若干太り目の男、大島太が、看板に描かれた可愛らしい娘を凝視し、立ち止まった。
『50分5000円』
「……ゴクリ」
 太は足早に、その看板に記されていた場所へと赴いた。


「ヘイ! シェイプアップ! シェイプアップ!」
 筋肉質なメイドが、軍隊顔負けの激しいシェイプアップ運動をしながら(ビリー的な意味で)太を励ます。
「ドウシタ、ブタ野郎! キサマハ種ナシカ!? モット気合ヲイレヤガレ!」
「ぶ、ぶひっ……」
 ようやく流れていた音楽が止まり、筋肉質メイドが太の背中を叩きながら笑う。
「OK! 今日ハココマデダ、ブタ野郎! マタ来イヨ!」
 笑いながらポカリスエットの缶詰を置いて帰っていく筋肉メイド。
 太は息も絶え絶えになりながら、缶詰のタブに爪を引っ掛ける。
「ハァ……ハァ……」
 しかし疲れで手が震えて、上手く開けることが出来なかった。
「……俺は……なんて無駄な時間を……」
 太の頬に、大粒の涙が伝った。


 一方その頃、公園では。
「う~~バイトバイト」
 今、夢を求めて全力疾走している彼は、専門学校に通うごく一般的な男の子
 強いて違うところをあげるとすれば、ROに興味があるってとこかナ――。
 名前はまだない。
 そんなわけで、通り道にある公園にやってきたらしい。
 ふと見ると、ベンチに一人の若い男が座っていた。
(ウホッ! 僕のお気に入りの場所が……)
 そう思っていると突然その男は、彼の見ている目の前でツナギのホックをはずしはじめたのだ……!
 そこから出てきたのは、一輪の花。
「活けないか」
「すごく……友情です……」


 一方その頃、学校では。
「私は、未来からきました」
「えっ……」
 信じられないことを述べた女生徒に対し、男はなんと言ってよいのかわからなかった。
「……」
「……」
 先に沈黙を破ったのは、女生徒のほうだった。
「みっくるんる」
「帰れ」
こうして二人は出会い、別れていった。


 一方その頃、曲がり角では。
「きゃー! 遅刻遅刻! ……あっ!」
「うわっ!」
 パンをくわえながら走っていた女生徒が、曲がり角を全力で駆け抜けた瞬間、男子学生とぶつかった。
 尻餅をついた女生徒は、涙目になりながら男子学生に抗議を……
「あっ、すいません……よそ見してて」
 あれ? 抗議しなかったね……。
 でもほら、男子学生のほうがきっとイチャモンつけるんだよ。
「あ、いえいえ、こちらこそすいません……」
 ……特につつがなく終わった。
 その後、別に女生徒と男子学生が再会することもなく、なんのドラマも始まることはなかった。
 現実なんて、こんなもんである。
 アレ? だけど、変じゃね? このしょっぱいの、ワシの泪じゃね……。


 一方その頃、どっかでは。
「べっ、別にアンタのためにお弁当作ってきたんじゃないんだからねっ!」
「お、俺だって別に、お前のために弁当食べるわけじゃないんだからねっ!」
 正直になれない男女が、何か言い合っている。
「あ、明日暇なのよ! べ、別にデートに誘ってるわけじゃないんだからねっ!」
「お、俺だってこの夏なかなか見にいけなくて心残りだった映画のチケットをたまたま二枚手に入れたってだけで、お前と一緒に行こうなんて思ってるわけじゃないんだからねっ! どうしてもって言うなら話は別だけど!」
「わ、私だって何となく箱に詰め込んでみたタイムカプセルを明日の夜たまたま埋めたいと思ってただけで、別にアンタに来て欲しいなんて言ってないんだからねっ! どうしてもって言うなら仕方なく付き合わせてあげるけど!」
「ふ、ふんっ!」
「ふ、ふんっ!」
 現在……そして未来も、二人はこんな感じだろう。
 まぁ、それはそれで幸せなのかもしれない。


 現在、西暦20XX年。
 世界は第二次VIPPER紛争の真っ只中にあった。
「ヘイ、ヨースケ! お互い生きて帰って、ROにでも明け暮れようぜ!」
「オー、マイケル! 俺は生きて帰っても、ROをやる気はないぜ!」
「HAHAHA! 正直になれないお前だぜ!」
「ハッハッハ!」
 二人の男が、肩を抱き合って友情を確かめ合う。
「マイケル! 心残りがあるとしたら、明日片思いの彼女に告白しようと思ってたのに、こんなことになっちまったってことさ!」
「ヨースケ、明日っていつの明日なんだい!?」
「明日って今さ!」
「OK! いってこいよヨースケ! BLは勘弁だしな!」
 そんな二人の前に、軍曹が現れた。
「敵襲だぜ、バイト共! 現在、そして未来を悲しみに染めないためにも、死に物狂いで戦うべきさ!」
「OK軍曹! 過去の過ちという涙の種は心のタイムカプセルに閉まって、今はひたすら俺達のお気に入りの場所を守るために戦うぜ!」
「オー、マイケル! 何を言ってるのか全くわからないぜ!」
「HAHAHA!」
 その時、軍曹がバズーカを構えて、敵陣へと突撃した。
「喰らえ! メガネバズーカ!」
 凄まじい勢いで噴出されるメガネに、敵達はさながら舞い散る花のように倒れていく。
「はっ! 軍曹! あれを見てくれ!」
 ヨースケが指差した先では、空間が捻じ曲がって、異様な光景をあらわにしていた。
「Oh! 空から誰か出てきたぜ!」
 驚くマイケルとは対照的に、軍曹はこなれた様子で解説する。
「オー、あれはその昔、一世を風靡した看板娘、アキコ・ジュンコじゃないか。タイムスリップしたんだな!」
 そしてアキコ・ジュンコは、何をするでもなくそのまま自分の時代へと帰っていった。
 思いがけない出会いと別れに思わず涙した三人は、「グッジョーブ」「グッジョーブ」と囁きあいながら、帰っていった。
 そしてなんだかんだあって平和になった時代で、彼らは夢を叶えていた。
 それでいいのだと思う。
 なにもかも、なにもかも。


―完―



 最終回は、カオス小説(?)となりました。

 ウォーリーを探せよろしく、お題を探せ! とでもいうようなカオスっぷり。

――好き勝手にやった、後悔はしていない。反省もしていない。

 お題をくださった皆様には多大な感謝を……本当にありがとうございました!

 少しでも楽しんで頂けたら幸いです。

 またいつか機会があれば、同じような企画をしてみたいと思っております。

 参加してくださった皆様、読んでくださった皆様に改めて感謝しつつ、最終回はこれにて終了します!

 ありがとうございました!
[PR]
by necosuky | 2007-09-22 21:07 | 掌編小説
<< 掌編小説「Eryngium(エ... お題募集による掌編小説 Par... >>



明日っていつの明日よ?
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
カテゴリ
以前の記事
小説関係と注意書き
秘密結社有限会社デベデ


当ページに掲載しているコンテンツの再利用(再転載・配布など)は、禁止しています。
お気に入りブログ
最新のトラックバック
芝刈り機
from 芝刈り機
ねこ鍋
from ねこ鍋
お嬢様の証明
from 隠れた面に魅力がいっぱい!..
「女性の美」
from 谷水の日記
スポーツマンシップ
from 豊留の日記
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧